フォロー中のブログ
カテゴリ
以前の記事
2008年 04月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 10月 2007年 08月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2008年 04月 03日
散歩していたら、幼児が花を摘んでいた。
摘んでいた、というよりも、もいでいたといおうか。 彼女はひとり。 周りを見回しても、畑や田んぼや遠くの方に小さな神社が見えるだけで、彼女の知り合いらしき人間はいない。 「ひとり?」 話しかけた私に、驚くわけでもなく 「はい」 と、もいだ花をさしだした。 「おうちにかだってね」 さ行がまだあやしい彼女から、花を受け取る。 「ありがとう」 お礼を言うとにっこり笑って、また花をもぐ作業へと戻って行った。 そんな彼女を見るわけでもなく、ぼんやりとしていたら 「え?」 と言う彼女の声が聞こえた。 「え?」 私が言うと、花をもいでいた手を休めて、私の方へ寄って来た。 少し申し訳ないような顔をしている。 「あのね、やっぱり、かえちてくれる?」 さっき私にくれた、小さな白い花を見ている。 「いいよ」 返すと、まだ申し訳ない顔のまま言う。 「この花だないと飛べないんだって」 そして、花をもいでいた場所にまた戻って行った。 「誰が?」 小さな背中に話しかけた。 「との人」 この人、と言われても私には彼女しか見えない。 し、あんな小さな花。 彼女の様子を見続けていたら、彼女がすっくと立ち上がって空をあおいで、手をふった。 「ばいばーい」 彼女の視線を追って、私も空をあおいだ。 さっきの白い花が、すーっと飛んでいく。 青い空を背景に、白がどんどん小さくなっていった。 ずっと目で追ったけれど、そのうちに空と雲に溶けていってしまって、見えなくなった。 誰か、あれに乗っていたのだろうか。 そういわれれば、何か人影のようなものが。 「ねえ、誰が乗っていたの?」 顔を空から戻して、彼女の方に向けたけど、もういなかった。 「ばいばーい」 声だけ、残っていた。
by omokorocoro-w
| 2008-04-03 11:55
|
ファン申請 |
||