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2008年 02月 16日
妹には彼氏といっしょに暮らしている友人がいる。
同じ会社に勤める友人だ。 その彼氏が、ある日小さな小さなみつあみをひと房持って帰ってきた、らしい。 「これ」 と言って開いた手の中に、小さい黒いものがのっていた、らしい。 はじめは何か分からなかった。 よく見ると、編まれている髪の毛だった。 「こんなもの、どうしたの」 妹の友人が尋ねると、彼はぽつぽつと話し出した。 彼は週に2日、仕事が終わってから専門学校に通っている。 授業が終わって、帰り支度をしていた彼の机の上に、小さい人がいた。 「ち、ちいさい」 彼が発した言葉の、その彼の吐いた息で、小さい人は少しふらついた。 「それくらい小さかったんだ」 彼は具体的な大きさは言わなかったけれど、その小さな小さなみつあみを見れば、だいたいの小ささが妹の友人にも分かった。 あの子が見た、会社のファックスから出てきた小さい人と同じかしら。 考えながら、彼の話を聞いた。 「小さい人は話してないと思うんだ。口が開いてなかったし、声を聞いてもないし」 でも、彼には届いた、という。 小さい人の願いが。 「髪を切ってくれませんか?」 小さい人はそう願った、という。 「手がふるえたよ。なんせ、小さいんだもん。 耳をちょっと切っちゃった、なんていうサイズじゃあないんだから」 彼は慎重に慎重に、言われるまま、みつあみの片方を切り落とした。 切り落としたみつあみを、親指と人差し指でつまみ上げたら、もうそこには小さい人はいなかった。 「え?」 彼が吐いた息で、小さなみつあみが彼の指先から飛んでいった。 「30分くらいさがしたんだ。みつあみもその人も」 結局、見つかったのはみつあみだけだった。 「あげるよ」 そう言われて、そっと手のひらにのせられた小さなみつあみを妹の友人はじっと見つめた。 片方だけみつあみを残した、小さい人を想像しようとした。 なんだか切なくなってきて、やめた。 みつあみは、からっぽになった旅行用の化粧水のビンの中に入れた。 今まで彼がくれたものの中で一番、神秘的で意味の深いものであるような気がしたから。
by omokorocoro-w
| 2008-02-16 13:53
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